2015-01-01から1年間の記事一覧

「アリーナ」より

その操作室に入るとあかく燃える火の向こうに心臓がひとつ。 私はそれを盗み出して一目散にかけていく。 アリーナ。僕が君を守るよ、哀しかった全部のことを盾にして。 一目散にかけていく。メインの動力を奪い取ったのにオルガンは歯車によって変わらない速…

傘もいらない

宇宙の天気は解るかな。 もうしばらく針が落とせない。 待ちぼうけのレコード。 でも魔法だよ。 ずっと知ってる。 広くて冷たい部屋の窓は あんまり高く付けたらだめだよ。 牢獄みたい。 でも結構気持ちがいいね。 「微睡み」っていう字に似てる。 車に乗っ…

一粒も涙の流れなかった夜

すべてを映すその黒い眼に 退屈な大人になった僕が映る。 諦めで世界を縮小し いつかの自分の声も聴けなくなる。 正しさは「正しさ」を批判しても その”正しさ”は誰が正すのだろう。 嘲笑と「こんなものだよどうせ人生は。」 誰もが吐いた言霊で今日も空気は…

静かな青いノートの日記。

わたしは泉の番人として、広い檻の中の森で暮らしていた。 飲めば不老不死になると言われる水を求めて、檻の中の近くや遠くから、色々な生き物が来ることが、わたしは嬉しかった。 やっと救われるといった顔をして素直に笑う者、もっと獣そのままの姿の者、…

虹の橋

海の上に虹がかかる場所があるんだ。 それを渡ってみたい。 そのために船も造った。 形はへんだけど立派さ。 どんな荒波にも嵐にも負けない。 正確には負けそうになる度に増築を繰り返して、 今じゃあすっかり何になら負けられるのか誰か教えて欲しいくらい…

Diva。届くかな。

明日になっても消えない。 信じるということは自分で決めること。他の誰にも出来ないこと。 代わる代わる新しい君が姿を現したが、私はそのどれもが好きだった。 どこかのバンドの汚いベースの音に、溶かされた昨日の憂鬱に、簡単に色を変えさせられて行く君…

鏡のない国 第6話「Rosie you can」

覚えてないだろ。僕ら二人であのお化け見た事あるんだぜ。 東の森の主、濃灰の巨大な化けもん、学校の裏の鉄塔は勇者の雷が降りる前に僕らで目指したね。くっつき虫を100個つけて帰ってきた。 疲れた庭のてんとう虫。シチューは母さんがどんなに僕らを怒…