2014-01-01から1年間の記事一覧

bakemono

置いて行かれていると気付いたのはそう遅くはなかった。 私以外が生まれ変わる事なく変わっていく。それは老いなどという理にかなったものではなく、 それぞれがあどけない子供のまま太り、腐敗していくのだ。 手遅れになる前に私は目を綺麗なままくり抜いて…

My old friend (夢の波止場)

reload 止まらないことばかりが ひどくやかましくて そのはがねの船にわたし以外乗せて 飛び立てないのもわかるくせにreload いつも話した店の 軒先の犬の置物と ぼくたちは似てるねと言ったらきみは 照れたように笑いぼくの名を呼んだ神さまわたしたち友達…

nicki chikatetsu 140813

はるか彼方に きみの夢が叶う国がある 空に昇る魂たちに ずっと目を真黒にしている あの英雄の成れの果てにも おちゃめなどうしで交わしたい 待ち合わせは分解して おなじ原子で組み直したら この宇宙にもある光 泣いた 地下鉄で 編み終えた頃には巻く首の無…

「私はもう私の真似事しか出来ない」だなんて言うんじゃなかった

「わたしは生まれないほうがよかったですか」 そうだね、きみはぼくの殺人者だ 「わたしはじめて外の世界に出てみて、とてもうれしくて泣いたよ」 ぼくは自分が死んでも構わないと思った。きみがはじめて生きられるなら。 「だけどわたしはだれにも望まれて…

鏡のない国 第2話「 少年(ABCDE)F 」

廃墟探索を仕事にして二ヶ月、いや三ヶ月…うーん、もっと前からやっていたような。 とにかくこの荒れ果てた街の写真を撮って週刊誌に売りつけることで飯を食おうと企んでしばらく経つ。 たまに幽霊が写るから、ソッチの方面にはウケるんだけど、まあ狭い業界…

幸福者

濃霧の中で、燃えながら 燃えながら! 僕は詩人に恋をしている! あの紫陽花が 私の手紙が 燃やされている宇宙が有る 青い炎はそのもので 葉っぱやなんかは一瞬で ひとりぼっちのそれぞれを 傷で透かした光の線を 雨野の草で切ったゆびを 呼ぶやり方を 「ゆ…

「鏡のない国」第1話『昨日のお城』

みっともない話をしよう。あんたの好きな女の子の話を。 彼女が店に来たのはいつだったか、よく思い出せないんだが。 寒い日だったような気がする。「憎しみを売って頂けませんか?」と言った顔はたしか鼻を赤くしていたから。 売りにくるやつはそりゃわんさ…