「アリーナ」より

その操作室に入るとあかく燃える火の向こうに心臓がひとつ。 私はそれを盗み出して一目散にかけていく。 アリーナ。僕が君を守るよ、哀しかった全部のことを盾にして。 一目散にかけていく。メインの動力を奪い取ったのにオルガンは歯車によって変わらない速…

傘もいらない

宇宙の天気は解るかな。 もうしばらく針が落とせない。 待ちぼうけのレコード。 でも魔法だよ。 ずっと知ってる。 広くて冷たい部屋の窓は あんまり高く付けたらだめだよ。 牢獄みたい。 でも結構気持ちがいいね。 「微睡み」っていう字に似てる。 車に乗っ…

一粒も涙の流れなかった夜

すべてを映すその黒い眼に 退屈な大人になった僕が映る。 諦めで世界を縮小し いつかの自分の声も聴けなくなる。 正しさは「正しさ」を批判しても その”正しさ”は誰が正すのだろう。 嘲笑と「こんなものだよどうせ人生は。」 誰もが吐いた言霊で今日も空気は…

静かな青いノートの日記。

わたしは泉の番人として、広い檻の中の森で暮らしていた。 飲めば不老不死になると言われる水を求めて、檻の中の近くや遠くから、色々な生き物が来ることが、わたしは嬉しかった。 やっと救われるといった顔をして素直に笑う者、もっと獣そのままの姿の者、…

虹の橋

海の上に虹がかかる場所があるんだ。 それを渡ってみたい。 そのために船も造った。 形はへんだけど立派さ。 どんな荒波にも嵐にも負けない。 正確には負けそうになる度に増築を繰り返して、 今じゃあすっかり何になら負けられるのか誰か教えて欲しいくらい…

Diva。届くかな。

明日になっても消えない。 信じるということは自分で決めること。他の誰にも出来ないこと。 代わる代わる新しい君が姿を現したが、私はそのどれもが好きだった。 どこかのバンドの汚いベースの音に、溶かされた昨日の憂鬱に、簡単に色を変えさせられて行く君…

鏡のない国 第6話「Rosie you can」

覚えてないだろ。僕ら二人であのお化け見た事あるんだぜ。 東の森の主、濃灰の巨大な化けもん、学校の裏の鉄塔は勇者の雷が降りる前に僕らで目指したね。くっつき虫を100個つけて帰ってきた。 疲れた庭のてんとう虫。シチューは母さんがどんなに僕らを怒…

bakemono

置いて行かれていると気付いたのはそう遅くはなかった。 私以外が生まれ変わる事なく変わっていく。それは老いなどという理にかなったものではなく、 それぞれがあどけない子供のまま太り、腐敗していくのだ。 手遅れになる前に私は目を綺麗なままくり抜いて…

My old friend (夢の波止場)

reload 止まらないことばかりが ひどくやかましくて そのはがねの船にわたし以外乗せて 飛び立てないのもわかるくせにreload いつも話した店の 軒先の犬の置物と ぼくたちは似てるねと言ったらきみは 照れたように笑いぼくの名を呼んだ神さまわたしたち友達…

nicki chikatetsu 140813

はるか彼方に きみの夢が叶う国がある 空に昇る魂たちに ずっと目を真黒にしている あの英雄の成れの果てにも おちゃめなどうしで交わしたい 待ち合わせは分解して おなじ原子で組み直したら この宇宙にもある光 泣いた 地下鉄で 編み終えた頃には巻く首の無…

「私はもう私の真似事しか出来ない」だなんて言うんじゃなかった

「わたしは生まれないほうがよかったですか」 そうだね、きみはぼくの殺人者だ 「わたしはじめて外の世界に出てみて、とてもうれしくて泣いたよ」 ぼくは自分が死んでも構わないと思った。きみがはじめて生きられるなら。 「だけどわたしはだれにも望まれて…

鏡のない国 第2話「 少年(ABCDE)F 」

廃墟探索を仕事にして二ヶ月、いや三ヶ月…うーん、もっと前からやっていたような。 とにかくこの荒れ果てた街の写真を撮って週刊誌に売りつけることで飯を食おうと企んでしばらく経つ。 たまに幽霊が写るから、ソッチの方面にはウケるんだけど、まあ狭い業界…

幸福者

濃霧の中で、燃えながら 燃えながら! 僕は詩人に恋をしている! あの紫陽花が 私の手紙が 燃やされている宇宙が有る 青い炎はそのもので 葉っぱやなんかは一瞬で ひとりぼっちのそれぞれを 傷で透かした光の線を 雨野の草で切ったゆびを 呼ぶやり方を 「ゆ…

「鏡のない国」第1話『昨日のお城』

みっともない話をしよう。あんたの好きな女の子の話を。 彼女が店に来たのはいつだったか、よく思い出せないんだが。 寒い日だったような気がする。「憎しみを売って頂けませんか?」と言った顔はたしか鼻を赤くしていたから。 売りにくるやつはそりゃわんさ…

「鏡のない国」最終話 『まわりはじめる』

私は耳を疑った!”自称・菩提樹”は平然ともう一度喋った。 「あんたが閉じこもって泣いているとき、世界は停滞している。」 ごらん、と左手(?)の枝を伸ばして足もとの水たまりを跳ねあげると、水滴が舞ってひとつひとつに映像を映した。 短い時間だけどよ…

式場のdoorをぶっ壊した君の瞳の宇宙に燃える金色の星が

だめだよ。みんなと離ればなれになっちゃう。わたし神さまのお嫁さんにならなきゃいけないんです。あなたに逢えた。それだけで全部報われた。こんな幸福なことはないから、きっと私はほかのみなさんのぶんも幸福を貰ってしまったから、あとはずっと返さなき…

「詩人」 

イメージばかりが行ってしまう! 空を切るせつない魂よ。祈りよ。 詩人を恋人にするとはどういうことか。 遠回りでしか触れられないということだ。 哀れ舌を抜かれた自由の奴隷よ。 遠回りでなら僕を引き取ってくれるのか? えいえんに追い払うことのできな…

「すべてすべて」

夢の中で君に触れた 死ぬかと思った 人間じゃなくなりたいっていうことだけを考えながら ひたすら漕ぐ 5時 人生はほとんどブランコだ 本当にもう構いませんから 形を無くしたいのです どうかどうか名前の無いものとして永遠にお傍に 本当にもう構いませんか…

「あるヒント」

街路樹の少ない道は寂し ぼくの故郷の光の隙間 いつだったっけなぁ雨の降ったりやんだりする日 嘘をついたのに傘を貸してもらった女の子が雨粒にまつげを吸いとられ 世界の水分のうるわしさがそこから溢れる幾粒かに凝縮された もしかしたらぼくはこの葉が落…

2012年夏の記録より-ver. June-

いつかちゃんは、ちいさなちいさな粒の集まりです。 うすい黄色をしている時期に、その出来事は起きました。 ひとつ前の気流は、ベルベットの闇で、山ごもりから帰ったばかりの賢人は宝石の瞳で「何かを待っているの?」と訪ねましたが何も答えることはでき…

その光の中で僕の心はネジを巻いたように動き出した

さよならの中ではやる その些細な化学反応 その美しさのためだけに さよならしていけるだろうか でもどこかで「それすらも」と 望む僕は死んでくれない。 「心はもう動かない 時をとめた、生きていくことも。」「確かにぼくが望んだことです。あぁでも、空や林や…

神よりも運命よりも夢よりも現実よりも偉い私の恋心

神さま どうか黙っていて あのひとは私のものです 神さま イイ子ぶってごめんね 私こそがあなたです 神さま 私聴いたの声 あのひとが笑った 私は運命よりもえらい あれは彼を笑わすことができなかった 夢が現になるほどにすべてゆめに還っていく 私は 何かあ…

Re make

(15の仮想の空の下、生まれたちいさな二人に時を越えてお似合いのバッドエンドを。)そのバットどこから盗ってきたんだろ?少年は屋上のドアーをひん曲げて、空を睨んで「文句あんなら降りて来なよ!」って叫んだ。 給水塔の裏のほうから弱々しい声が煙草の…

パンケーキを食べても

雨粒に笑われてプリズムに逃げたらそれでも尚笑われた。 完全な自由とは、完全な不自由のことである。 さあどうだ。またいつものように塊を、喉の奥でぐっとこらえて、粘膜切ったまま笑ってみせよう。 痛くもない。血なんか出てない。僕は平気。あたりまえ。…

Another world

苦手なことは、嘘と隠しごと。@Another_w 歯車は、尚も廻る。 Sarchlight girlのひみつのかくれんぼ。

また朝が来たと言いながら

自問自答にも飽きてきた どっちだってかまやしないわ さみしいという感情は 心さえ許せばとてもやさしい 何も案じないと決めたら最後 ただ さみしいなあ まだかなあ そもそも何を待ってるのかなあ と 声にすらせずに ただ ただ座標も溶けた宇宙の適当な温度…

「Searchlight girl with satellite(最終兵器の意)」・・・君の願いは?

Searchlight girl 灯台になれない Searchlight girl 銃はいらない Searchlight girl 患う夢は Searchlight girl 冷たい手をして Searchlight girl つめたくわらう Searchlight girl カライロノソラ えぐったその手で掴もうとする えぐったその手で撫でようと…

360°ラウンドスクロール  「煙・血・夕暮れ・サーベル」

変なの。雪が降ってる。今も悲しみの連鎖が続いていてね、さんさんと見えない涙が積もっていってるのにね。 変なの、私あなたと生きようと思ってる。 健康な子供産んで空の上までも領地にしようなんて企む夢を見たの。けっこう前の話ね。 そういうのぜんぶだ…

I know you (You know all of me)

一羽の鳥がいつも通りの冷静さでまた飛行を始めました。 霧の雨がさらさらと降りそそぎ、水分を含んだ羽は多少重さを増していきますが、そんなことはおかまいなしです。この鳥はある一点で他の鳥達よりずっと軽く、ずっと遠くへ飛べるというスキルを持ってい…

王子様のビール

どうも、こんにちは。魔女です。あ、この暗さだったら「こんばんは」ね。失礼いたしました。目を見て話せればきっと瞳の中のハートマークが見てもらえるのでしょうけど、ちょっと、どういうつもり?生中継じゃないの?こんなんじゃあ全然だめじゃない!ああ…