2013-01-01から1年間の記事一覧

「鏡のない国」最終話 『まわりはじめる』

私は耳を疑った!”自称・菩提樹”は平然ともう一度喋った。 「あんたが閉じこもって泣いているとき、世界は停滞している。」 ごらん、と左手(?)の枝を伸ばして足もとの水たまりを跳ねあげると、水滴が舞ってひとつひとつに映像を映した。 短い時間だけどよ…

式場のdoorをぶっ壊した君の瞳の宇宙に燃える金色の星が

だめだよ。みんなと離ればなれになっちゃう。わたし神さまのお嫁さんにならなきゃいけないんです。あなたに逢えた。それだけで全部報われた。こんな幸福なことはないから、きっと私はほかのみなさんのぶんも幸福を貰ってしまったから、あとはずっと返さなき…

「詩人」 

イメージばかりが行ってしまう! 空を切るせつない魂よ。祈りよ。 詩人を恋人にするとはどういうことか。 遠回りでしか触れられないということだ。 哀れ舌を抜かれた自由の奴隷よ。 遠回りでなら僕を引き取ってくれるのか? えいえんに追い払うことのできな…

「すべてすべて」

夢の中で君に触れた 死ぬかと思った 人間じゃなくなりたいっていうことだけを考えながら ひたすら漕ぐ 5時 人生はほとんどブランコだ 本当にもう構いませんから 形を無くしたいのです どうかどうか名前の無いものとして永遠にお傍に 本当にもう構いませんか…

「あるヒント」

街路樹の少ない道は寂し ぼくの故郷の光の隙間 いつだったっけなぁ雨の降ったりやんだりする日 嘘をついたのに傘を貸してもらった女の子が雨粒にまつげを吸いとられ 世界の水分のうるわしさがそこから溢れる幾粒かに凝縮された もしかしたらぼくはこの葉が落…

2012年夏の記録より-ver. June-

いつかちゃんは、ちいさなちいさな粒の集まりです。 うすい黄色をしている時期に、その出来事は起きました。 ひとつ前の気流は、ベルベットの闇で、山ごもりから帰ったばかりの賢人は宝石の瞳で「何かを待っているの?」と訪ねましたが何も答えることはでき…

その光の中で僕の心はネジを巻いたように動き出した

さよならの中ではやる その些細な化学反応 その美しさのためだけに さよならしていけるだろうか でもどこかで「それすらも」と 望む僕は死んでくれない。 「心はもう動かない 時をとめた、生きていくことも。」「確かにぼくが望んだことです。あぁでも、空や林や…

神よりも運命よりも夢よりも現実よりも偉い私の恋心

神さま どうか黙っていて あのひとは私のものです 神さま イイ子ぶってごめんね 私こそがあなたです 神さま 私聴いたの声 あのひとが笑った 私は運命よりもえらい あれは彼を笑わすことができなかった 夢が現になるほどにすべてゆめに還っていく 私は 何かあ…