傘もいらない

宇宙の天気は解るかな。
もうしばらく針が落とせない。
待ちぼうけのレコード。
でも魔法だよ。
ずっと知ってる。


広くて冷たい部屋の窓は
あんまり高く付けたらだめだよ。
牢獄みたい。
でも結構気持ちがいいね。
「微睡み」っていう字に似てる。


車に乗ってみたくて、免許を取った。
ミニを買うのはさすがに哀しいかもしれないけど
ちょっといいのを買って、可愛がろう。
サーチライトは灯台。今日だって想うよ。白いお腹。
夏の間だけ夜までやってる遊園地に行った。
ママと遊ぶのは嬉しくて泣きたくなるけど楽しい。
15年くらい前からある木製のジェットコースターに乗った。
ふだんは昼間しか動いていないもの、笑っちゃうくらい真っ暗で。
ガタガタ揺れて全身痛い。
人工衛星が見えて、走り抜けていった多分あれは未来。
世界が停止していた。
もう何も走らないレールの上を歩く君の後ろ姿は
やっぱり夜だね。
心の中の秘密の部屋で大泣きした。
あの「君」の、足元に溜まって月でも映し込む水溜りを。


こんなに静かなのは、ほかの何処かがうんと賑やかだからだろうね。
小さい頃から夢なんて、象の背中に乗ることと、あとはもうひとつくらい。
孤独はいつも、「誰かを想うやさしい気持ち」に焦がれている。
そのふたつが触れ合った瞬間のことを何て呼ぶのかもう知ってる。
だけど私それをそのまま「私の人生。」と言おう。
そろばんで解けない問題が解けたらそれが私の奇跡の終わり。
まだパチパチ計算をしている人も、もうそろばんが壊れて泣いてしまうことしか出来ない人も、
分厚い雲が途切れる時までは生きていよう。
宇宙の天気は解るかな。


 あなたという存在がこの世にあったというだけで私の魂に永遠に消えない誇りが付与されたようなものだから。
 命が輝く条件はひとつ。
 愛することは踊り続けること。
 時計の針が止まったなんて希望的観測だったみたい。ほんとは溶けてた。12時を持ってフリスビーにしたら追いかけた犬にもさよなら。本当の怪物は時でも七つの罪でもない。
 

 堰を切ったようにたくさんの話をした。
 白い紙が落ち着いた頃にまた再生する、私の涙の跡。
 君に二度と見せられない弱さも。
 「あなたという存在が…」
 これからだってどんな場所にいたって言えること。
 都合がいいんだか悪いんだか、同じ言葉をまた言うなんてね。


 だから、二度と癒えない傷を心に、また痛んで流す涙を幸福と呼ぶ卑怯さを借りて。
 あんまりずるいことばかりしていると死んでから星になれないかな。

 
 愛って孤独なのね。
 嘘みたいに色も匂いも生まれるの。
 人はきっと一粒の宝石で、砕いて売って生き延びていく。
 君がストロボ。光が当たらない世界には虹も無い。
 電車の窓を開けて、いるはずのない影を探す日には。
 誰にも秘密だよ。君と魂を交換する。
 どこまで行ったって変わらない答えは。
 神様なんかいなくたって探すよ。
 自分で結んだ目印の糸、自分で嫌になって引きちぎったって。
 次の世界で…どこ?次の世界には君が居ない。
 だからこれで終わり。君が神様になる前に。
 どこまで行けるの。
 詠えたら届くかな。
 どうせ約束なんか守らないって笑うでしょ。
 何処にも行かない。
 何処にも行かないことが君の邪魔になるなら、
 石になる。いつか自分の詩で目を覚ます。


 名前だけ借りるよ。